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JPMA 日本粉末冶金工業会

製品・技術情報Products

焼結機械部品よくあるご質問

焼結機械部品に関するQ&A

焼結機械部品とはなんですか?
金属粉を金型内で押し固め(成形)、融点より低い温度で加熱(焼結)することで製造した製品で、機械の構成部品として使用されるものです。
どのような機械に使われていますか?
自動車やバイク、コピー機、家電、電動工具など、身の回りの多くの機械に使用されています。
焼結機械部品が適している代表的な部品の例を教えて下さい。
ギヤ、カム、ブッシュ、ピニオン、ポンプ部品などが代表例です。複雑形状や中・大量生産、耐摩耗性 が求められる用途に適しています。
使用される材料について教えて下さい。
鉄、銅、ステンレス、黄銅(真鍮)、青銅などがあります。その他、アルミニウム、ニッケル、チタン、タングステンなど、粉末にできればほとんどの原料が使用可能です。
金属粉の大きさはどの程度ですか?
一般的に数µmから100µm程度の大きさの粉末を使用します。
どうして粉末から作るのですか?
複雑な形状を切削加工なしで製造できることで、材料の無駄が少なく、コストを下げられるためです。経済性と環境の両方に良い工法です。また、様々な特性の原料粉末を配合できることから、溶製材では実現できない特性を持った部品を製造できることも特徴です。
どのように環境に良いか教えて下さい。
切削加工しないことで材料の無駄を少なく製造でき、リサイクル粉末も使えます。省エネにもつがる工法です。
粉末から作ることでもろくはなりませんか?
しっかり焼結しているので、十分な機械的強度があり、自動車のエンジンやトラスミッションの部品にも使われています。
焼結機械部品と切削加工品を使い分ける基準を教えて下さい。
数量、形状の複雑さ、必要精度、コストが判断の目安となります。高精度・小ロットなら切削、大量・中精度・複雑形状なら焼結が有利です。
大きさの制約はありますか?
面積や厚み、密度によりますが、過去の実績ではφ284mmが最大です。
製造可能な製品の大きさは何によって決まりますか?
使用するプレス能力(最大荷重)に依存します。
形状の制約はありますか?
圧縮成形後、圧粉体を金型から圧縮方向に抜き出せることが条件になります。ただし、抜き出せない形状の場合には切削加工等で対応出来ますが、出来るだけ加工部分を少なくなるよう、メーカーと打合せいただくことを推奨します。
はす歯歯車は製造できますか?
製造できます。過去の実績では、製品の厚みにもよりますが、ねじれ角は36°が最大です。
製造可能なギヤの最小モジュールについて教えて下さい。
密度などにもよりますが、過去の実績では0.045mmが最小です。
溶製材と比較して切削しやすいですか?
材質によりますが、気孔があることで断続切削となるため削りにくいとされています。
機械的強度や疲労強度について教えて下さい。
焼結体は微細な気孔があることから、一般的に機械的強度や疲労強度は溶製材よりも低くなります。
機械的強度や疲労強度を向上させる方法はありますか?
高密度成形や浸炭焼入れ、熱間鍛造(後加工)、HIP 処理などにより向上させることが可能です。設計段階での応力集中の回避も重要です。
どのような熱処理が可能ですか?
溶製材と同様にズブ、浸炭、窒化、高周波焼入れ等が可能です。
内部に気孔が存在するため、溶製材に比べ焼きが入りやすいとされています。
表面処理は可能ですか?
表面に四三酸化鉄の被膜を作る水蒸気処理やめっき、コーティングなど、要求特性に応じて様々な処理が可能です。
焼結部品を接合することはできますか?
焼結工程で焼結と同時に接合を行うロウ付け接合や拡散接合、焼結工程の後で接合を行う摩擦圧接や溶接などが可能です。
公差設計での注意点について教えて下さい。
焼結時の収縮率(通常 1%前後)や方向性収縮、成形方向による寸法変化を見越して設計が必要です。重要寸法は再圧縮で補正可能です。
焼結機械部品の製作には金型が必要ですか?
粉末成形の際に金型が必要です。一般的に形状や材料によって一品一様で用意されます。再圧縮工程がある場合は、再圧縮用の金型が別に必要です。
焼結材料に関する工業規格はありますか?
JIS Z2550 焼結金属材料に規格化されています。国際規格のISO 5755、類似外国規格として、ドイツ規格のDIN、アメリカ規格のMPIFなどがあります。