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焼結含油軸受自動車関係の用途例

- 視界関連
- ワイパー
- ウィンドウウォッシャー
- ヘッドライト冷却ファン
- 光軸調整
- エンジン関連
- スタータ
- 電子制御スロットル
- フューエルポンプ
- ガソリン漏れ検知
- ラジエター用クーリングファン
- バッテリー冷却ファン
- 走行関連
- ABS
- 電動パーキングブレーキ
- 車高調整装置
- 補機関連
- パワーウィンドウ
- サンルーフ
- スライドドア
- ドアクローザ
- ドアヒンジ
- ドアミラー
- パワーシート
- トランクオープナー
- シートファン
- ブロワ
- HUD用カラーホイルモータ
- その他
- ソレノイドバルブ
- 電動アクチュエータ
- ドライベアリング
視界関連
LEDヘッドライト冷却ファン用軸受
ヘッドライトの多機能化要求が高まる中、車両への搭載が増加しているLEDヘッドライトには、高照度化による発熱への対策として冷却用ファンモータが使用されています。このファンモータ用軸受には静音性、長寿命、-40℃の環境下での起動性、-40℃から120℃までの使用温度範囲、アウトガスによる照射性能への悪影響の防止が要求され、従来は動圧軸受、ボールベアリングが使用されていました。軸受形状、軸受材質および含浸油の最適化を行う事で焼結含油軸受が採用されました。
ファン構造
エンジン関連
燃料噴射ポンプ用軸受
自動車マーケットのグローバル化が進み、硫黄などを多く含む粗悪燃料地域では、従来使用されていた青銅系焼結材料では腐食が起こるため、耐食軸受が必要になっていました。
新しい燃料ポンプ用軸受は、粉末冶金独自の材料技術により、硫黄などに対して優れた耐食性と過酷な摺動条件下で優れた耐摩耗性を兼ね備えた高機能焼結軸受です。
以下に本軸受の高濃度の硫黄を含む粗悪ガソリンを想定した腐食試験と、低粘度不活性溶液中による摩耗試験の結果を示しますが、優れた耐食性と耐摩耗性を兼ね備えている事が判ります。
| 試験前 | 200時間 | 腐食の有無 | |
|---|---|---|---|
| 新規耐硫化軸受 | ![]() |
![]() |
なし |
| 従来青銅軸受 | ![]() |
![]() |
腐食発生 (黒色変化) |
図 低粘度不活性溶液中での耐摩耗性
バッテリー冷却ファンモータ用軸受
HEV・EV車のバッテリーは、ガソリン車のバッテリーと比較し、容量も大きく発熱も多い為、冷却用ファンモータが使用されます。
従来のボールベアリング仕様のブラシレスモータより静音化、低コスト化が可能な焼結含油軸受は、10年30万km(8万時間)保証と言われる長寿命の要求にも応えます。
走行関連
電動パーキングブレーキ用軸受
電動パーキングブレーキは、従来のワイヤーを使用した機械式とは異なり、ブレーキシステム内のモーターにより制動力を発生させるパーキングブレーキであり、搭載車両が増加しています。
軸受にかかる使用環境は大変過酷であり、ブレーキの動作保証に対する長期信頼性だけでなく、ユニット内スペースの制約により、薄肉形状、他材料との干渉、相性など様々な要求事項がありました。
そこで、軸受形状、軸受材料および含浸油の最適化により、焼結含油軸受が採用されることとなりました。

減速機用軸受
モータ用軸受
補機関連
パワーウィンドモータ用軸受
ウィンドガラスを開閉させるのがパワーウィンド用モータで、そこには焼結含油軸受が使用されています。
近年、モータの高効率化と静粛性の向上要求の高まりにより、軸受には更なる摩擦係数および摺動音の低減が求められています。従来は銅系材料が主流でしたが、最近では、一層の性能向上が図られた経済性に良い鉄銅系材料が使われるようになってきています。
パワーウインドモータの概略図
軸受寸法(一例)
ドアクローザモータ出力軸用軸受
自動車のサイドドアやスライドドアを電動で半ドア状態から閉めこむためのドアクローザモータ出力軸用の軸受に焼結含油軸受が使用されています。出力軸特有の低速高負荷条件や樹脂インサート成型にも対応可能な仕様に設計された焼結含油軸受です。
ドアクローザモータ出力軸用軸受の概略図
四輪用ドアヒンジ軸受
自動車のドアパネルを開閉するヒンジ機構部内の軸受として焼結含油軸受が用いられています。
ヒンジ部は重いドアパネルを支える為の剛性が必要で、軸受にも高い耐面圧が求められます。
そのような高面圧に耐えうる強度と軸受として十分な摺動性を兼ね備えた最適な材料を選定することで、厳しい使用条件においても焼結含油軸受が採用されています。

HUD
HUD(Head-Up Display)とは、DLP(デジタルライトプロセッシング)を用いた方式により、ナビゲーションや道路情報をフロントガラスに投影する表示装置です。
HUD用カラーホイルモータ軸受は、高温での長寿命化、摺動ロスの低減、傾斜した姿勢(35°)での油漏れ対策が必要ですが、軸受形状、軸受材料および含浸油を最適化することにより、焼結含油軸受が採用されました。
その他
ソレノイドバルブ用軸受
ソレノイドバルブは電気信号を受け取って、バルブを開閉し流体を制御する部品です。
車載では主に油圧や油量のコントロールに用いられることが多く、近年の自動化の進む自動車において搭載数が増えています。
そのソレノイドバルブの直動シャフトを支える軸受として焼結含油軸受が用いられ、シャフトの直進運動を良好に保つことに寄与しています。また、バルブ作動をするための磁性部品としての機能も兼ね備えた材料が採用されています。

エンジン周りの電動アクチュエータ用軸受
自動車のエンジン近傍で使用される各種電動アクチュエータは、エンジンからの熱により、120℃以上の過酷な高温環境下に置かれます。この電動アクチュエータに用いられている焼結含油軸受に、一般的な鉱油やエステル油を使用する事は、蒸発減量特性が低いため使用困難です。しかし、潤滑油にフッ素系の油や高温対応のエステル系油を選択する事で、エンジン近傍の高温環境下でも潤滑油の蒸発が抑制されるため、各種電動アクチュエータの軸受として焼結含油軸受をお使いいただく事が可能です。

ドライベアリング
ドライベアリングとは、軸受内部に潤滑油の代わりに固体潤滑剤(黒鉛)を分散させた焼結軸受です。
EGR(排気ガス再循環装置)バルブ用ブッシュなどで、200℃以上の高温に曝され、潤滑油が蒸発してしまう温度領域(~250℃)での使用が可能です。また、潤滑油が使用できない用途にも適しています。








