工業会賞のご紹介
工業会賞は、1979年度に粉末冶金工業普及事業の一環として創設され、2025年度で47回目になります。
工業会賞は、工業会事業に貢献された方を表彰する「業界功労賞」と優れた粉末冶金製品を表彰する「新製品賞」、優れた原料粉末を表彰する「原料賞」、優れた製造設備を表彰する「設備開発賞」に分かれています。「新製品賞」は、さらに「デザイン部門」、「材質部門」、「製法開発部門」に分けて審査され、2003年度から、選考委員会で特に優れた受賞案件とされたものに「工業会大賞」を授与しています。
また、賞の対象にならなかった応募の中から、特徴のあるものを「奨励賞」として表彰しています。
2025年度
高気密熱処理材を採用したEV向け冷却モジュール用焼結平歯車
- 株式会社ダイヤメット
- 難易度の高い形状付与、気密性、強度及び硬さの要求品質を焼入れ処理、スチーム処理、特殊洗浄の組み合わせとその条件選定にて実現している点が評価されました。BEVの冷却モジュールは今後の需要拡大が見込まれ、類似製品への技術展開や、他用途でも気密性を有する高強度部材品の市場拡大が期待されます。
モータの高性能化に貢献する薄肉・高絶縁耐圧塗装付き圧粉磁心の開発
- 住友電気工業株式会社
- 圧粉磁心表面への絶縁樹脂原料液の開発、塗布方法の最適化、磁心との化学反応を利用した被膜の密着薄膜化により3倍の絶縁耐圧とコスト1/10を実現しました。また機械的強度も確保されており、今後のアキシャルギャップモータの普及拡大が期待されます。
焼結接合キャリア省人化ラインの開発
- 住友電気工業株式会社
- 焼結キャリアは長年採用されており、生産方法は確立されているが、素材製作と熱処理・検査工程を一貫ラインにすることにより、仕掛低減、リードタイム短縮、品質確保及びコスト低減30%を実現し、月産7万個で量産していることは画期的であり、今後の焼結キャリアの市場拡大が見込まれます。
高強度焼結材の製造を実現するNiフリー低合金鋼粉
- JFEスチール株式会社
- 既存の4Ni 系部分拡散合金鋼粉に対し、Fe-Mo系合金鋼粉に粒子円形度の調整及びCu粉の微細化により、Niフリーでも同等以上の強度・硬さ・疲労強度を達成し、且つ20%のコスト低減と環境負荷低減を実現した点が評価されました。環境、品質及びコストを兼ね備えた合金鋼粉のため、今後の市場拡大が見込まれます。
カーエアコン用コンプレッサー容量制御弁(ECV)ガイドブッシュの焼結化
- ポーライト株式会社
- 真鍮切削品から、固体潤滑剤(黒鉛)を分散させたCu-Sn-P-C 系材料の焼結への置き換えにより、50％コスト低減が実現されていること、368万個/年と生産量が多く、今後、容量制御弁(ECV)の拡大に伴い焼結ブッシュの採用拡大が期待できる点が評価されました。