工業会賞のご紹介
工業会賞は、1979年度に粉末冶金工業普及事業の一環として創設され、2022年度で44回目になります。
工業会賞は、工業会事業に貢献された方を表彰する「業界功労賞」と優れた粉末冶金製品を表彰する「新製品賞」、優れた原料粉末を表彰する「原料賞」、優れた製造設備を表彰する「設備開発賞」に分かれています。「新製品賞」は、さらに「デザイン部門」、「材質部門」、「製法開発部門」に分けて審査され、2003年度から、選考委員会で特に優れた受賞案件とされたものに「工業会大賞」を授与しています。
また、賞の対象にならなかった応募の中から、特徴のあるものを「奨励賞」として表彰しています。
2022年度
2個同時成形でネットシエイプ実現した複雑多段形状のパーキング部品
- 住友電気工業株式会社
- 成形方向上下逆転、2個同時成形による金型焼き付き防止、3D設計による金型形状最適化により完全ネットシエイプ化を実現させた点が、着想も素晴らしく技術的に高く評価されました。また、完全機械加工レス+2個同時成形によりコスト半減化を達成、他製法とのコスト競争力向上により需要拡大も期待される点が評価されました。
電動VVT用高精度薄肉部品の量産化
- 株式会社ファインシンター
- CAE解析をフル活用し、異形状で薄肉部を持ち且つ焼入れを必要とする製品の高精度を達成した技術が高く評価されました。焼結特有の難課題を解決した技術及び電動VVTという製品用途の両面で、今後粉末冶金の領域拡大の可能性を広げるものと考えます。
耐久疲労強度を向上させたMT用プラネタリろう付けキャリア
- 住友電気工業株式会社
- これまでの設計思想を大幅に変更してギヤとプレートの周り止め段差レス且つ接合面積増による接合強度向上、ギヤ部の除肉成形による重量減により、強度・コストの両面で顧客要求を満足し量産化を実現した点が評価されました。また、顧客に焼結の設計自由度・品質信頼性・接合強度向上など課題解決力をアピールでき、今後電気自動車用e-アクスル等への焼結接合技術採用拡大も期待される点が評価されました。
レーザー焼入れを適用した環境対応パーキング部品
- 住友電気工業株式会社
- 二部品一体化でニアネット成形を実現して大幅なコスト低減を達成、また、省電力かつ焼入れ油レスのレーザー照射法を活用し必要部のみの部分焼入れを採用することで、コスト低減のみならず二酸化炭素削減を実現された点が評価されました。更に、焼結部品のコスト競争力と環境対応力を向上させ、今後急速に開発が進む電動車向けにも更なる需要拡大が期待される点が評価されました。
高硬度と高精度を両立させた電動VVTハウジングスプロケットの開発
- 住友電気工業株式会社
- 極めて狭い範囲の局部高周波焼入、専用砥石開発による溝幅と有効範囲の両精度確保により、高硬度と高精度を両立させた技術が評価されました。VVT以外の他製品にも応用可能であり焼結製品の需要拡大が期待されます。
3Dプリンタ用金属粉末(金型用高熱伝導率粉末)
- 大同特殊鋼株式会社
- SKD61をベースにしながら高熱伝導性とCoレスを達成した新規性が高く評価されました。造形中の割れ抑制及び金型の長寿命化は、様々な金型コストの低減を可能とし、将来に渡って市場の認知、浸透が進むことで粉末冶金業界のみならず金型業界の発展にも貢献していくことが期待されます。
電動パーキングブレーキ用モータの焼結含油軸受
- ポーライト株式会社
- 低温ノイズ発生のメカニズムを明確にし、工程・形状の複合的工夫により課題を解決された点が評価されました。低温特性の安定化、高温から低温までのワイドレンジでの使用が可能であることから、様々な用途への応用も期待されます。